小さな家族
1991年ベルリン国際映画祭特別招待上映

監督:瀬藤 祝
原作:ペーター・ヘルトリング
主演:丹阿弥谷津子、佐々木一成、千石規子

みずみずしい映像が語る"少年映画"

★ストーリー
 交通事故で両親を失った少年昭彦(小4)をひきとったのは、母親とはウマがあわなかった小春おばあちゃん(68)。昭彦は、郊外の家から都心の古びたアパートへ。初めての夜、おばあちゃんのすごいいびきで、悲しい夢もたちまち消える。おばあちゃんは、抹茶のお店(屋台)を出している。転校先では、学校についてきてきたおばあちゃんのパフォーマンスのせいで、同級生からからかわれ、悔しさに泣きだしてしまう。アパートの中庭の広場では、いつも子どもたちがサッカーをしているのだが、昭彦はなかなか仲間に入っていけない。おばあちゃんはそんな昭彦をヤキモキしながら見ているのだが、可哀そうなどと甘やかしたりはしない。ただ、ありのままの自分というもので、裸でつきあってゆく。やがて昭彦は、少年たちの、子どもの世界へととけこんでゆく。
 そんなある日、おばあちゃんは昭彦の誕生日に熱海旅行をプレゼント。遊園地で遊んだり、ごちそうを食べたり、友達と老人ホームを訪ねたり……昭彦は、おばあちゃんの持っている、人間としえの姿に触れてゆく。
 ところが旅行から帰って数日後、おばあちゃんが救急車で運ばれた!……

★みずみずしい映画が語る”少年映画”
 「スタンド・バイ・ミー」「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「さよなら子供たち」……子供たちを描いた洋画は、最近傑作ぞろい。児童映画の世界で、ああいうタッチの映画が作れないだろうか?何と言っても、まず子どもが見て面白くなければならない。と同時に大人が見て鑑賞に耐えるものであって欲しい。ストーリーの面白さだけではなく、人間の面白さで見せたい。そんな願いから「小さな家族」が作られた。
 両親を失い一人残された少年が、祖母にひきとられ、おばあちゃんとの生活の中で、新しい子どもの世界を築いてゆく。淡々とした物語がみずみずしい映像で語られ、ダイナミックに人生を感じさせる。一人の少年が人生を知り始める初々しさは、子どもたちの感動を呼び、見る人は思わず引き込まれたゆくでしょう。


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